あれは2010年冬のことでした。越美北線沿線の越前東郷駅はくそ寒かったことを記憶しています。福井の雑誌「URALA」の編集者だった堀さんに、呼び出された日は。
当時の私は純粋ピュアピュアな大学生で、ホームで写真を撮られたのち、インタビューはこっちで…とほりさんの車に乗り込んだのでした(いたたまれなくなって、駅から150メートルほどの実家にお連れした記憶が)。

それから時は流れて2019年夏。
越美北線沿線の越前東郷駅はくそ暑かったです。
「うわ、あかん、遅れるわ!」と集合時刻に1分くらい遅れかけて、実家から駆け足で向かったホームには、レフ版を構えた堀さん、否、堀編集長さまがおられました。

2年ほど前の夏のこと。
「はちやさん、本出さんのけ?出したらインタビューさしてやあ」と、雑誌「fu」編集部に移籍した後すっかり偉くなった堀編集長さまに言われ、それを真に受け、なおかつ執念深く覚えていた私は、書籍の1文字目を書き出すよりも先に「本、今年の夏に出ますから!インタビューするっておっしゃってたこと、忘れてませんよ!」と誌面獲得作戦に乗り出し、そして無事に「fu」2019年10月号で見開き2頁分のインタビューを書いてもらったのでした。
しかもそのうち半分は(本人の体型も含めて)でかい写真が載っています。
あまりにも体が大きくなりすぎたので、母によれば、近所の人から「あす美ちゃん妊娠したんけの」と言われたそうです。
あと、敦賀に住む祖父は「立派な体しとるなあ」と言ったそうです。御年90にしてこの豊かな表現力。感動モノですね。

堀編集長といえば、伺った際に「蜂谷さん?アイスコーヒーでいい?」と仰いながら熱くも冷たくもないコーヒーを出してくださったり、「これ皆さんでどうぞ」とお渡ししたあげ饅頭を一人で全部平らげたりする方です。
今回は、撮影後にインタビュー場所である実家にお連れしたところ、玄関の敷居をまたぐ前に大慌てで駅に戻って行かれました。
「カバン忘れた!」と言いながら。